三浦健光 2020 ユーロナスカー レースリポート

 2020年、NASCAR EUROシリーズ、セミ・ファイナル/ラウンド7-8戦と、ファイナルラウンド9-10戦。

これまで以上の結果を求め、二年半所属したアレックス・カフィ・モータースポーツからオーストリアのDF-1 Racingへと移籍。

しかし思いがけないコロナ禍で世界情勢が揺さぶられ渡航が困難となり、事実上の参戦が見送りになると言う、見込みが立たないシーズンとなりました。

しかしながらユーロナスカーのプロモーターであるTEAM FJも関係当局と多くの折衝をしてくれた結果、様々な制約をクリア。最終スペイン・ラウンドにようやく参戦できる運びとなりました。


 この様な経緯から自分自身も頭を切り替え、このラウンドは来年のチャンピオンシップで上位を狙うための準備と割り切ることにしました。更に言うと既に昨年の最終戦から1年以上レーシングマシンに触れていない事や、チームの移籍によりマシンの特性の確認、エンジニアやメカニックとのチームとのコミュニケーションを図る等、移籍した新チームで学ばなければならない事が山の様にあります。

 ひとつの週末に2大会を行う変則的なタイムスケジュールになった為、金曜日に予選、そして1レースを行うという異例のタイムテーブルが組まれた。また公式練習は30分×2本と、スポット参戦となった今回の苦戦は予測済みでした。


Round7 予選

 初めて対面する新しいチームのマシンへの信頼感やサーキットの習熟の時間が取れないまま予選開始。ニュータイヤの感触は想像通りだったものの、プラクティス時に感じていたアンダーステアは消えず予選終盤にエア圧を変更し、ラスト1周だけアタックしたタイムがベストタイムとなり11位。

Friday Highlights | NASCAR GP SPAIN 2020

Round 7

 若干のアンダーステアが残るものの、マシンへの習熟度が上がってきた。特にリヤのトラクションが強いこのチームのマシンは、レースペースを安定させるには走りやすいセットだった。

 しかし無線の調子が悪く、いくつかのアクシデントがあった際もコースマーシャルや周辺の他車の状況から判断しかなかった。ユーロナスカーのマシンは特に後方が見えにくい為、無線の必要性は極めて高く、その為、この状況では精神的に強いストレスを感じた。

 周回数を重ね混戦状態を上手く乗り切り9位でゴール。しかし序盤の混乱を回避したトラックリミットがペナルティの審議となり週末への警告を喰らう。こうした状況も無線の状況が大きく左右するポイントとなった。

Round 8

 前戦のベストタイム順でグリッドが決まる為、9番手からのスタート。マシンの感触は未だややアンダー気味だが、足りないところは明確に見えているので対処は可能。しかし運悪く、オイルプレッシャーの警告が毎コーナーのたびに点灯し、アクセルを緩めなければならない状況となった。この状況下に於いての頼りの綱が無線なのだが、やはり機能しない。

 そんな状況の中、マシンやコースの状況にアジャストしていく走りで2グループ目の後方に位置し、今年度のレギュラードライバー達のレースの仕方を観察しながらの走行となった。

結果順位を変える事はなく9位でフィニッシュ。

Saturday Highlights | Valencia Super Speedweek

Round9 予選

 既にマシンの性格やコースの習熟は済んだつもりで臨んだが、エンジンパワーはやや不足気味。理由は前日までのオイルプレッシャーなのか分からないが他車のスリップに入っても離されてしまう。もう少し良い順位を想像していたので期待外れとなった。

Sunday Highlights | EuroNASCAR Finals

Round 9

 マシンのチェックを行いエンジニアと警告が出た際のステップを確認し気持ちを整える。

ペースも上がり、現状ではTOP3までとはいかないが、確実に上位争いが出来る可能性を確認。スタートでジャンプアップを果たし6位フィニッシュ。多少のアンダーステアはまだ残るものの悪くないフィーリング。チームの雰囲気もとても良く、あと少しの”何か”を手に入れればトップ争いが出来そうな、この週末いちばんの感触を得られた。

Round 10

 スターティンググリッドは7位。悪くはない位置であるものの、今回のこのスペインではスタートがあまりにも決まらない。2コーナーまでは悪くなかったものの、前方のトラフィックに後続が一気に追いつき混乱。自分ではそれらをを上手く交わしたと感じていたが、空いているラインから数台にパスされ、逆に15位ほどまで順位が下がってしまう。とは言えペースはこちらが圧倒的に速いので焦ってはいなかったが、執拗なブロックに順位を回復出来ず、2台をパスしたが万事休すで13位。後味が悪い結果となった。


三浦健光 コメント:

 自分としては新らしいチームのレースへの取組み方など『これが来年の材料になれば』と、参戦しました。改善しなければならない事、自分のポテンシャル等を確認出来たので良い週末だったと思います。

 NASCARはなんといっても見ごたえあるバトルが魅力ですし、それを行うドライバーとして必要なものを改めて整理し、来期に臨めれば、と考えています。

 チームからは今年の初めに年間契約していたので、『引き続き来年もチームに残留して欲しい』と言われてますし、他のチームからもオファーはいただいております。いずれにしても、何をしたら“優勝”が手に入るのかを考え、オフシーズンを過ごしたいと思います。


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