ユーリ・ビップス ADAC F4 悲願のドライバーズタイトル獲得!
ADAC F4選手権
Rd.7/シリーズ第19-21戦
セオドールレーシング プレスリリース
2017年9月22-24日
ドイツ/ホッケンハイム
前戦のザクセンリンクから二週連続開催のADAC F4最終戦、ホッケンハイム。
ザクセンリンクでチームタイトルを確定したプレマ/セオドールレーシングは、ドライバーズタイトル争いにFDAドライバー #9 マーカス・アームストロング(202ポイント)、エストニア人ドライバーの#44 ユーリ・ビップス(218.5ポイント)の2名を残す事に成功。ここにライバル、強豪のV.A.R.からエントリーする#1 フィリッペ・ドルゴビッチが絡むと言う展開。理論上はシリーズ4位につける#13 ファビオ・シュラー(US Racing)までがタイトル権利者であるが、現実は3位のドルゴビッチまでの戦いとなる公算が大方の見方だった。
ところが好事魔多しとはまさにこの事と言わんばかりの展開に。2回のFPを通してマーカス、ユーリ共にさっぱりタイムが伸びずトップ10に入れない状況に陥った。周囲は”また三味線を弾いているんだろ?”と言う見方が圧倒的だったが、実際にはそんな余裕のある状況ではなかった。
予選:
予選が終わるとプレマ/セオドールレーシングはより深刻な事態に陥っている事が誰の目にも明らかになった。
Q1.ユーリ14番手、マーカス21番手
Q2.ユーリ、Q1と同じく14番手でこれはまだマシな結果。マーカスに至ってはディスクォリファィと言う結果に!
一方のライバルたるドルゴビッチはQ1/2共に2番手と絶好調。この段階でドライバーズタイトルに一番近いのはドルゴビッチと言うのは誰の目にも明らかだった。
レース1(シリーズ第19戦):
1台のマシンが出走できなかった為、それぞれ1ポジション上がったグリッドからスタート。ユーリ13番グリッド、マーカス20番グリッド。フロントローにいるドルゴビッチの事を考えると、モチベーションを失いそうなポジションだが、とにかくやれる事をやり尽くすしかないユーリとマーカスである。
スタート進行のシグナルトラブルで混乱があったがそのままレースはスタート。ここでユーリ、マーカスは共に大きくポジションを上げてのオープニングラップとなった。一方のドルゴビッチもスタート良くトップに立ち、逃げ切り体制を固める。
Lap 3に入る頃にはユーリ9番手、マーカス12番手まで這い上がってきた。その後、ユーリは更に1ポジション上げて8番手、マーカスも10番手に上がったところでチェッカー。
優勝はドルゴビッチ。タイトル争いはここで急激に緊迫度を増した。
なおスタート時の混乱については不問となり、各ドライバーにペナルティー等は発生しなかった。またこのレース1の順位はレース3のグリッドにリバースで反映される。その為に10位のマーカスはポールポジション。8位のユーリは3番手セカンドローと言うビッグボーナスを手に入れる事になる。
レース2(シリーズ第20戦):
ポイントリーダーのドルゴビッチは2番手フロントロー。ユーリは14番手、ディスクォリファイのマーカスは最後尾からのスタート。タイトル争いはほぼ絶望的な展開に。
しかしここから突然、”まさかの風”が突風の様に吹き荒れ始めた。
フォーメーションを終えて全車グリッドに付き、スタートを待つその時、最大のライバルであるドルゴビッチの両手が大きく振られる。マシントラブルだ!
エクストラフォーメーションに再出発する全車。無念、ドルゴビッチはピットレーンに戻りピットスタートを選択。
そして二度目のフォーメーションでようやく正式にスタート。ターン1までにユーリは11番手、マーカスも3台をオーバーテイクし、まずは好ダッシュを決める。Lap 2終了時点でユーリ10番手、マーカス16番手。その後もユーリ7番手、マーカス11番手と順調に順位を上げる。
最後尾から追い上げてきたドルゴビッチだが突然ピットイン。ステアリングのボタンを何度も押してレースに復帰。テクニカル問題が再発した模様。これで大きく順位を落とし、その後、リタイアとなった。
ユーリは6番手、マーカス10番手と両者共にポイント圏内へ浮上。
ノーポイントに終わったドルゴビッチを尻目にユーリは8点追加の230.5ポイント。ここで再度、シリーズトップに立った。一方のマーカスも貴重な2点を加算して223ポイント。こちらもトップにあと7.5ポイント差まで詰め寄った。
レース3(シリーズ第21戦):
ポールはマーカス。ユーリ3番手。そしてライバルのドルゴビッチは10番手と言うポジション。スターティングポジションだけ見るとプレマ/セオドール勢が圧倒的に有利なポジションだが、今週のチームのクルマはまるでスピードが出ない。それでも二人のヤングドライバーはこの先に続くであろうヤングスターへの道を確実に自分のものにしようとコックピットに収まる。
そしてスタート!マーカスにユーリが喰らい付き、接触ギリギリのバトルを展開する。
しかしT6のヘアピン、互いにレイトブレーキで攻防していたのが裏目に出て立ち上がりで失速。トップの座を奪われて2-4番手へと後退してしまう。この2台は#41 アーテム・ペトルブ(V.A.R.)を挟み、激しい攻防をしながら周回を重ねるが、ペドルブのペースは速くユーリは次第に置いていかれ、ペドルブはマーカスへのオーバーテイクを狙う。
そしてT6でスリーワイド、トップ#98 セドリック・ピロ(T.P.S.I)とユーリ、ペドルブ。アペックスでラインがクロスしペドルブ-ピロ-マーカスの順。その次のラップ、T6でマーカスがピロをオーバーテイク。更にその先のT8でユーリがピロをオーバーテイク。マーカス2位-ユーリ3位のポジションを形成した。
このプレマセ/オドールの編隊走行を助けるかの様に、これ以後、なぜか4番手以降ではレースが荒れ模様になり、プレマ/セオドールと後続との距離は自然に離れて行った。その混戦の中にドルゴビッチがおり、ポジションを上げるどころか自身の8番手をキープするのに精一杯の状況となっていた。
そしてチェッカー。マーカスは2位で18点を追加し241ポイント。ユーリはここまでの230.5ポイントに3位15点を加算。合計245.5ポイント。マーカスに僅か4.5ポイント差を付けてのタイトル獲得となった。また昨年からチームに在籍し、シーズン途中まで共に活動したファン・マニュエル・コレアはシリーズ10位にランクされた。
絶対に勝てない状況から一転。マシンのスピードが劣る状態でのドライバーズタイトル1-2位とチームタイトルは十分に賞賛に値するものであると自負します。長い長いシーズンでありましたが、最高の形で締めくくれた事、沢山の応援、本当にありがとうございました。
まだFIA-F4はイタリアシリーズが残っています。こちらも全力で戦いますのでご声援、宜しくお願いいたします。
コメント:
テディ・イップ・ジュニア(チームプリンシパル):
ユーリはそのタレント性や実力を存分に発揮し、それらの才能を自らの力で証明しました。またマーカスはとても素晴らしいパフォーマンスで、チームワークを保ちながらシリーズ2位と言う結果を残す事が出来ました。
チームの皆は全てのハードワークを乗り越え、結果としてこの様な素晴らしい栄冠を手にしました。本当におめでとう。
2017 ADAC F4 ドライバーズランキング2位
#9 マーカス・アームストロング:
すっごいタフな週末でした。本当にあと少しと言うところで、負けを喫するところでした。クルマのスピードが足りなくて、そこで迷いが生じてしまいましたが、最大限の努力をしました。予選でテクニカルな問題があり、それが原因でこの週末が本当に厳しくなってしまいましたが、その後状況が変わり、我々はファンタスティックな仕事をやってのけました。
2017 ADAC F4 シリーズチャンピオン
#44 ユーリ・ビップス:
凄い週末でした。チャンピオンシップで1-2位と言う結果を出せた。これ以上、素晴らしい結果は無い。念願のシリーズタイトルを獲得出来ました。応援、本当にありがとうございました。