チームメイトのクラッシュでレース1は参加できず。しかしレース2でまたもルーキーポディウムへ!
NASCAR WHELEN EURO SERIES Rd.7-8
Needs 24/G.W.R. Press Release
ドイツ/ホッケンハイム
2017年7月28-30日
Day-1(金曜日)
前回、ELITE 1のドライバーがライセンス問題で参加できなくなり、急遽ELITE1/2の両方を走らなければならなくなった三浦健光だが、今回はELITE1にイタリア人ドライバーで、昨年までナスカーユーロシリーズに参戦、現在はスポーツカーシリーズでレース活動を行っているのアルベルト・カルロ・フォルティがエントリー。健光は自分本来のパートだけに専念すれば良く、ようやく落ち着いて自分の仕事に取り組む事ができる環境が整った。
最初にアルベルトがドライブ。その後、交代して健光がドライブ。チームメイトより常に1秒速いタイムをマークしながらコースの完熟走行に務めた。
しかしオーバーステアがひどく、その対策に多くの時間を費やす事になった。ベースのセットアップはファクトリーで行っているが、前戦のオランダ ヴェンレイのショートオーバルと同じくチームがデータを持っておらず、セットアップに四苦八苦。四方八方、手を入れてセットアップを組み上げる。結果、明らかにフィーリングが改善方向に。
二本目(最終)のプラクティスで、周りの上位は新品タイヤ、健光はユーズドタイヤながら11番手のタイムをマーク。フィーリングも悪くなく、今回は自力で上位を狙えるのでは?と思うほどに感触が良く、チームオーナー兼ディレクターのアレックス・カフィを中心にチームの士気が高まった。
Day-2(土曜日)
予選
残念ながら期待とは裏腹に予選は完全に不発。ミッションに不調を来たしそのフィーリングは重く、スムーズなシフトチェンジが困難に。さらにはクラッチが滑り出す始末で、わずか8分の予選では修理作業する事も出来ず、気持ちがやや焦り始めたところで得意としていた最終セクションのハイスピードコーナーでコースアウト。マーシャルからは『お前、このコーナーで一番速っかたぞ』と声を掛けられるも、悔しい終わり方でまたもや消化不良のまま決勝に望む事になってしまった。
レース1
ELITE 1でアルベルトが大クラッシュ。フロント周りが全損。太い鉄鋼フレームが押されて曲がるほどの勢いでぶつかり、先端 のカーボン製インパクトボックスまで破損。いかに衝撃が大きかったかを物語っていた。
ELITE 2のレースは二時間半後。ここでレース迄には修復不可との判断。
主催者に不出走の届出を提出。
“日曜日も無理かもしれない”と言う程の壊れ方で、チームは次第に判断力を欠く程、憔悴していった。
『何とかならないものか?』と、メカニックが細かくクルマを調べたところ『完璧ではないけど直せるかも?』と言い出し、日曜日の朝までの時間を考えた末、アレックスがマシンのリペアにGoを掛けた。結局、明け方、3時まで作業は続き何とかクルマを修復した。
Last Day(日曜日) ELITE 2 / RACE-2
朝の10分間のウォームアップ走行。クルマは走る。ドライブフィールから来る怖さも無い。ただしギアが重く入り辛い。またクルマは左に寄って行く、等々あったが走る事が可能と判断し、レースに参加することを決めた。
レース1に出ていない為、最後尾からのスタートを命じられた。
スタートからは好調で1台ずつ丁寧にパス。しかし元来がこのナスカーというレースは本当に荒れ放題のレース。無傷でゴールするマシンは殆ど見かけない程、レースは荒れる。明け方までマシンを修復してマシンを走らせてくれたチームに対し、必ずクルマをゴールへ持って行く事で報いると言う気持ちで健光はプッシュ。
序盤のタイムはトップグループと変わらず、アレックスが無線で『プッシュ!タイムが速い!イイぞー!!!』」と大興奮。
しかしこのラッシュも中盤まで。トランスミッションとクラッチの不具合が再発。時折マシンが安定せずバタバタとした挙動。ナスカーはパワーがあるので、こうした機械的なトラブルはマシンのバランスにもの凄く影響してしまう。また後半はアンダーステアが強くなり、チームもこれをセットアップの問題であると痛感。
トップチームは後半もコンスタントにタイムを出すので、ドライバーだけではなく、チームとしてまだまだ勉強しないければならないポイントである。とは言え、前を走る5台よりは良いタイムで走行出来ていたのでやはり、今の体制だと6番手あたりが妥当な線と判断出来たレースとなった。
結局、レースは13位でゴール。
ELITE 1/ Race-2
本来はこのグループへの参加はしていなかったものの急遽エントリー。ELITE2/Race-2でのアンダー→オーバーを解消すべくセットを変更。ピットスタートを宣言されていたが、マシンに乗り込んだところ、最後尾スタートが許された。
ナスカーは”お客様を楽しませる興行である”と言う精神から判断されたらしく、1台でも多くのクルマがバトルに参加する事を目的にしているとの事でローリングに加わった。
最後尾の為、失うものは無く『あとは抜くだけ』と思いでスタート進行に入ったところ、『雨が降るかも?降ったらピットに入りタイヤ交換だ』という無線が飛び、荒れたレースの予感。
スタートしてから1周で3台パス。しかし1台に抜き返されという序盤の展開で徐々に順位を上げ8台をパス。
セットの変更も当たり、後半もアンダーがそれほど出ず、マシンが良い方向に向かっているのを確認しながら、前のマシンとの差を更に詰める。
『タイム的には10番手位、悪くない!』との無線を受け、序盤の争いで離された距離を詰めに入る。
が、しかし、、、初戦のスペインと同じように後半の高速コーナーでスロットルペダルがスティック!
一瞬だけスロットルを全閉にするコーナーで、スロットルをオフにしても全開のままフルパワー。たまたまランオフエリアがアスファルトだった為、クラッチを切りギアをニュートラルに。なんとかリタイヤを避けれないか?と、全開でまわり続けるエンジン音を聞きながらエンジンストップ以外の方法を瞬時に考える。そして思いつたのがスロットルペダルを何度かオン/オフ。もしかしたら?と思ったこの行為が当たり、スロットルが戻りコースに復帰。この間に2台に抜かれたがリタイヤとクラッシュを避けれたのは不幸中の幸い。
こうしてマシンは完調では無いものの、セットアップの方向性に手ごたえを感じたレースで結果は18位完走、チャレンジャークラス でオランダ同様3位表彰台を獲得できた。
色々な出来事があったものの、間違いなく収穫の多いウイークエンドを過ごす事ができたホッケンハイムラウンドだった。
コメント:
アレックス・カフィ チーム代表のコメント:
健光はもっともっとイケる。今年はドタバタのシーズンインだったし、健光もスケジュールの調整が大変だった。来年もウチで走ってくれるのならしっかりとしたプログラムを作ろうと考えている。今回のセットアップの様にテストをする時間さえあれば勝てるんだ。
チームにも更に投資し、ホスピタリティも充実しTOPチームにしていきたいと考えている。
三浦健光のコメント:
よく喋りますよね、みんな(笑)。やっぱりイタリア人だからかな?とにかく喋りっぱなし。けれど『これは良い』『これはもっと勉強しろ』『これは我々が学ばないといけない』、と、とてもフェアですね。ドライバーだけのせいにしたりしません。
色々な事があった週末でしたが、アレックスの言う通り、今年は学ぶ年として、来期へと視点を変えた方が結果、(勝利への)近道かもしれませんね。
予定では今年はもう1イベント参加する予定ですから、マネージメントの体制も整えながら、少しでも良い結果を出していく様、努力します。
これだけ純粋に、失望と希望と楽しさを与えてくれるナスカーは最高です。トラブルで最後尾になってもファンがサインを求め来てくれる。最高の舞台と感じています。
写真提供:NASCAR WHELEN EURO SERIES