Atlantic Racingアジアンルマンシリーズ Rd.3 タイ・ブリラム レースリポート

Atlantic Racing(カナダ)は今シーズンからウィンターシリーズとなったアジアンルマンシリーズ2015-2016(以下、ALMSと表記)の第2戦(マレーシア・セパン)からGroup CNクラス(以下、CNと表記)に参戦しています。CNクラスはヨーロッパではポピュラーなカテゴリーで、オープントップのLMPに似た外観を持ち、カーボンファイバーシャーシに2L N/AのホンダK20エンジンを搭載した本格的プロトタイプ・レーシングスポーツカーです。

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CNクラスのカテゴリーには、現在複数のシャーシコンストラクターがあり、Atlantic Racingが使用するマシンはWolf Racing Carsが製造販売しているWolf GB08を使用します。Wolf Racing Carsは2009-2010年にイタリア人のジョバンニ・べラロッサが1970年代後半から1980年代前半にF1で活躍したWalter Wolf Racingの知的所有権を買い取り新たに設立したレーシングカーコンストラクターです。

アジアのレースシーンにおいてはフォーミュラBMWやフォーミュラピロータチャイナなどで活躍したAtlantic Racingがアジア地域のWolf Racing Carsの代理店となり、今シーズンからCNクラスの参加が許されたALMSにこのWolf GB08をエントリーさせています。

今回のレースからマカオのGold Wolf Racing Ltd.がマネージメントに加わり、新しい体制となり、このCNクラスの普及やジェントルマンドライバーのルマン24時間レースへの扉を開ける新しいプログラムとして取り組むことになりました。

今回のシリーズ第3戦タイ・ブリラムは新年度になってすぐと言う事もあり、各ドライバーがライセンス更新など時間の壁との戦いになってしまい、この3時間レースを2名で戦う事となりました。本来は3名で戦うのですが、次回最終戦セパンラウンドまでにサードドライバーを決定し、その後、先日ACOから発表されたAsian Le Mans Sprint Cupへの参加を目指します。

Atlantic Racingチーム体制

チームオーナー兼ディレクター Ingo Strackerjan
レースエンジニア                       Jurgen Schmitt
コマーシャル & PR                   Gold Wolf Racing Ltd.
ドライバー                                  Zen Low (マレーシア)/佐野新世(日本)

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ドライバープロフィール:

Zen Low (1969年生まれ)

1990年代前半に英国のフォーミュラレースで経験を積んだあと、GT4クラス、ランボルギーニスーパートロフェオなど主にGTカーやカップカーなどで活躍。
2013年アジアンルマンシリーズGTCクラスシリーズチャンピオン。
2015-2016 アジアンシリーズRd.2マレーシア・セパン、GROUP CNクラス ポールポジション・決勝2位。
佐野新世 (1976年生まれ)

2013年マツダロードスター、86/BRZレースで四輪レースデビュー。
2014年ニュルブルクリンク VLN、2015年Super FJオートポリスシリーズ2位、ポルシェGT3カップチャレンジオープンクラス シリーズ1位。
過去にはバイクでのパリダカールラリー、バハ1000など、様々なアクティビティーを展開している。四輪レース活動の最終目標としてルマン24時間を目指し、そのきっかけを掴むためにアジアンルマンシリーズに挑戦。

予選 19()

5つのカテゴリーが一斉にタイムアタックを開始。Atlantic Racingの予選は佐野が担当。コースオープンと同時にアタックを開始。

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先行するのは同じマシンを使うWolf Racing CarsワークスチームのAvelon Formula。3周目に1’37”335をマーク。セットアップの変更が裏目に出てドライブフィーリングの変化に苦しむ佐野は7周目にクラスポールタイムとなる1’36”285をマーク。その直後、LMP3がガードレールへ突っ込み赤旗中断。長い時間、予選が中断となる。ライバルのAvelon Formula はトラブルを抱え、予選アタックを中止した為、佐野もコクピットで待機。その後、予選は再開したもののAvelon Formula が走り出さなかった為、佐野もコクピットを降り予選を終了。記念すべきALMSデビュー戦をクラスポールで締めくくった。

決勝 1月10日()

 

快晴の日曜日。

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午後1時からスタート進行が始まった。不安な点は一点だけ。
予選中にステアリングダッシュに一度だけ表示されたエンジンに関する警告表示。
Wolf Racing Carsのエンジニアが予選終了後に確認したものの、特に問題点が見当たらず、ECUのバグと判断された。

 

大勢の観客が見守る中、ローリングスタートが開始。走り始めてすぐに好タイムを叩き出す佐野にスタートドライバーのステアリングを委ねた。
経験値が殆どないものの、今回は予選アタックもこなし、レギュラードライバーと遜色ない活躍がチームから認められた結果だ。

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初めてのローリングスタートで失敗し最下位へドロップしたものの、目の前を走るKCMGのポルシェGT3をパス。ここからスタートで前へ行かれてしまったAvelon FormulaのWolf GB8の追走に掛かった瞬間、ターン5でスローダウン、そのままエンジン停止。
すぐにエンジンを再始動させてレースに復帰するも同じ症状が再発。

ピットとの無線で原因を探りながらの走行となってしまった。オイルプレッシャーの警告灯が再び点灯するがひとつのコーナーだけエンジンストールの症状が出る為、Wolf Racing Carsのエンジニアの判断でピットイン。オイルプレッシャーのセンサーを外してコースに送り出す。

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快調に走っている時はライバルに対し1周につき1.5秒近く速いラップタイムを刻めるだけにチームもレース続行を目指しデータを解析するが原因が掴めない。そのままトラブルを抱えながら何とか完走を目指し、36周で佐野からZenへドライバーチェンジ。

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しかしコースに戻ったZenは無線で『No Power !』を連呼する。
ピットに戻しもう一度チェックするがそこでは問題が表示されない。そこでもう一度コースに戻したところでレースコントロールから『レース除外』の通知を受けて失格処分が言い渡された。
ピットで再点検したところ三番シリンダーがデトネーションを起こしている事が分かり、ようやくピットもレースを諦めた。

ドライバーのコメント:

佐野新世

「予選までが出来すぎでしたね。ル・マン24時間を自分のモータースポーツ活動の最後のターゲットにして、そこからあっという間にここまで来ました。
このカテゴリーに参加する事が夢でしたから、LMP2/3に抜かれてその後姿を見た時は感動して涙が出てきました。とは言え、次のレースはすぐですし、今回の参加からFIA/ACOのブロンズドライバーの申請の資格も得られました。まだ入り口に着いたばかりですから、ここからが本番なので次のレース、キッチリと勝ってチームタイトルの獲得に貢献したいと思います。」

Zen Low

「多くのスポンサーからのサポートと大勢のゲストの前でエンジントラブルに見舞われた事は大変に残念な事です。タイの人たちは本当にモータースポーツが好きでこのスポーツに対する姿勢には本当に感服します。
サポートしてくれたスポンサーの方々に改めて感謝を申し上げます。」

Photo Credit : Asian Le Mans Series.