セオドールレーシングジュニアチーム/岡村健 スーパーFJ デビュー戦を優勝で飾る

2015年9月20日

 今年の7月から活動を開始したセオドールレーシングジュニアチーム(以下、セオドールレーシング)育成プロジェクト。

その第一弾としてスタートした鈴鹿クラブマンレース【スーパーFJ鈴鹿シリーズ 第5戦】において初の四輪レースとなった岡村 健(以下、タケル)は、デビュー優勝と言うこれ以上ない結果を叩き出し、プロジェクトとドライバー自身の白星スタートを切りました。
D3C_5273_R セオドールレーシングは新たなスタードライバーの発掘をテーマにマカオグランプリに於いて、FDA(フェラーリドライバーズアカデミー)やLOTUS F1 Jr.Team等からドライバーを供給されてきました。
これらはいずれもF1に直結する一流の育成&マネージメントプログラムでありRed Bull Jr.Teamと並んで現在のF1シーンに新人ドライバーを供給する重要な流れを作っています。
セオドールレーシングの姉妹チームであり、F1フィーダーカテゴリーであるGP2/GP3に参加しているSTATUS GPも今年は5名中4名がロータスジュニアからドライバーが供給されております。

しかしながら今後の展開を鑑み、セオドールレーシングの将来を考えた結果、各国にジュニアチームプロジェクトを展開する必要性を考え、この7月から日本で最初のスタート。今後はマレーシア、イギリス、イタリア等、各国でジュニアチームが展開されます。
日本ではタケル・中野翔太がその最初のプログラムに参加。
限定Aを保持しているタケルはすぐにレースデビューへのプログラムを策定し、スーパーFJでのトレーニングを始めました。
IMG_2578_R セオドールレーシングではこのスーパーFJを設定するにあたり、

(1).安価なコスト
(2).レーシングカーの教習車

と言う位置付けをし、あくまでもKARTからステップアップをするドライバーにとって比較的低いハードルで参加できると言う点を重要視してカテゴリーを選びました。

またガレージを決めるにあたり、過去の成績に於いての優秀さ、競技車輌を維持する技術力の高さを考慮し鈴鹿の強豪ガレージであるテイクファーストに委託する事にしました。

事前テストは予算の都合から5日程度しかできず、レースウイークに入ってもタイムが伸び悩んでいましたが、レースそのものも”テスト”と割り切り、”完走&ポイント圏内フィニッシュ”を目標と定めて日曜日のワンデーレースに臨みました。

そして日曜日。
走る為の必要なトレーニングを簡単にレクチャーした後に臨んだ予選では計測開始と同時にトップタイムを連発。一時は四番手に下がりましたが、ラスト3分でスパートして三番手グリッドを獲得。
デビュー戦としてはこれ以上ない予選順位を確保できました。
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IMG_2599_R 正午からの決勝では初めての四輪の為、グリッドの停止位置やクラッチの操作などを確認。前方にはこれまでシリーズ二勝、二位二回とチャンピオン目前の平木玲次(RS FINE)、そしてタケルと同様に今回がデビュー戦となる大井偉史(スキルスピード)が予選二番手。タケルを挟んで四番手は今シーズン、着実にポイントを重ねている大石裕基(スキルスピード)と、いずれも強豪ドライバー/チームがグリッドの上位を占めました。
IMG_2618_R そしてスタート。
今回、チャンピオン目前の平木がエンジンストール。
混乱するグリッドの上位は大井が飛び出してトップ。そこにタケルが追走。
一周目の中盤にはピタリと大井のスリップに入ったタケルは二周目に入った1コーナー(130R手前)でスリップから飛び出し大井のインに飛び込みオーバーテイクしトップに浮上。
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そのまま後続との差をグングン広げ、途中二位に対し4.5秒差まで引き離しました。
しかし実力で勝る平木がグングン追い上げてレース中盤に二位に浮上。
タケルが築いたリードを見る見るうちに崩していきます。

ラスト二周、その差は二秒。
タケルも中盤、少々ダレてタイムを落としたものの、この状況に気が付きベースアップ。
ゴールラインを横切った時には1.5秒差まで詰められていました。しかしながらデビュー戦で優勝を決めてポディウムの中央に立つ事ができました。
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この電撃的なデビューウインはまさにこのプロジェクトが故テディ・イップの築いたセオドールレーシング直系の血統である事を体現するレースでした。
1983年のセナのマカオグランプリ優勝、2013年アレックス・リンのセオドール復活ウインと同等の大きなインパクトがあり、1977年、セオドールレーシングが初めて日本のレースにエントリーしたF1日本グランプリ(エンサインN177/パトリック・タンベイ/リタイヤ)の雪辱を果たす事にも成功しました。
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ドライバーのコメント:岡村 建
「最初はちょっと緊張しましたが、前のクルマのスリップに入った時、『イケル!』と思い、思い切って130Rに飛び込みました。元々このコーナーの走り方は良いと言われていたので、そんなにビビる事無くいけました。優勝できるとは思っていなかったけど、勝ってみるとみんなが喜んでくれて良かったと思います。資金的な問題で中々ステップアップできなかったけど、カートで面倒を見てくれている金子さんが動いてくれて結果的にこう言うデビューが出来て良かったと思います。
課題は分かっているので、今シーズン掛けてしっかりと修正し、次のステップに繋げて行きたいと思います。」

セオドールレーシング チームプリンシパル:テディ・イップJr.のコメント
「我々のアジアンプログラムのスタートがこの様な展開になったと言うのは望外の結果でした。
これは今年の11月、マカオグランプリに参加するSJM THEODORE RACING by PREMAにとっても強い刺激となり、幸運への扉を開けるものだと確信しています。」

セオドールレーシング マネージングディレクター:デビッド・ケネディのコメント
「テディをはじめ、姉妹チームであるSTATUS GPのすべてのスタッフがこの報告を聞いて驚きと大きな喜びに包まれています。
タケルとチームのみなさん、本当にありがとう。そして早く会える日を心待ちにしています。」

セオドールレーシング チームコンサルタント:澤野勝治のコメント
「衝撃的な優勝であった事は事実ですが、我々としてはまだまだ課題が多い週末でした。
本来、タケルはもっと早くこのレベルに達していてもおかしくないドライバーであるのに、我々の体制的な問題で自信を失わせてしまっていた状況が続いていたと聞き、大変に申し訳なく思っています。コミュニケーションミスと言えばそれまでですが、統制が取れていなかった事は事実です。テストドライバーの離脱、参加予定のレースがドライバーの意思と違う情報が伝えられたり、テストリポートがわずか10行にも満たない報告しか来なかったりと問題が山積みでした。
我々は体制を一新し、チームとしてより強く、育成としてシンプルで尚且つ取り組みやすい体制を敷いていく事を約束します。
ともかくタケル君、デビューレース、優勝おめでとう。
そして家族とカート関係者の皆様、ここに至るまでのご尽力に対し心より感謝と御礼を申し上げます。」
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